市民本位・市民自治の市政を!

新型コロナウイルス対策の強化と未来を見据えた市政運営を進める予算編成

「市民生活重視とゼロカーボン施策など持続可能な社会を追及する」横浜市2022年度予算案の概要と評価

2月7日 市民の市長をつくる会事務局長 菅野隆雄

はじめに

1月28日山中市長は2022年度予算案を発表しました、今回の予算編成が山中市長として初めてとなり注目されていました。最大の公約のIRカジノ事業は撤回し「新たな芸術劇場」事業なども止め新型コロナウイルス対策の強化と未来を見据えた予算編成としています。

予算規模は全会計総額約3兆8,074億円(対前年度比-2.4%)一般会計約1兆9,749億円(対前年度比-1.6%)。市税収入は4,536億円、個人市民税は4,062億円、法人市民税は474億円です。子育てや市民生活充実の事業やゼロカーボン事業などに大きな予算を振り分け、旧上瀬谷基地整備、高速道路・港湾整備や大規模公園整備などの公共事業も引き続き予定しています。

山中市長の公約前進に絡む「次の横浜を創るプロジェクト」事業は、市民要望の前進に寄与する内容にしていかなければなりません。

<各会計の予算規模>

1 2022年度予算の特徴と概要

予算案の編成については3本の柱建てと9項目のくくりにしています。順番も一番が「誰もが自分らしさを発揮し、いきいきと」「安心して暮らすことができる街・横浜」「市民生活や都市を支える基盤づくり」とし市民生活優先・充実の方向が出ています。

「次の横浜を創る政策プロジェクト」事業は今後の市政運営や中期計画の作成にかかわる重要なものとなります。新型コロナウイルス対策事業の強化や市民の健康推進事業・ゼロカーボンなどは評価されますが、引き続き公共事業関係(施設整備費)の予算の割合は約10.0%1,979億円(対前年度比▲20億円)です。内容は大型公共事業です。

国庫補助事業(639億円、昨年659億円)と市単独事業費(1,340億円、昨年1,610億円)の金額で国庫補助は減額され市事業費も減額されました。

横浜環状道路南線の建設など219億円、国際コンテナ戦略港湾275億、山下ふ頭再整備事業には23億円、港湾整備94億円、こうした大型公共事業などは見直しも必要です。建設費用は市債として後々の市民負担となります。行政のデジタル化なども市民の生活とのかかわりで説明し進める必要があります。主な項目ごとに概要と評価を示します。

<暮らしやすい横浜>

「次の横浜を創るプロジェクト」事業に5千万円を付け、子育て世帯に優しい施策などの検討を計画します。保育・幼児教育の充実1,741億円、子育てや待機児童解消と医療ケアなどの推進です。放課後児童対策や東部児童相談所開設準備などに224億円。誰もが生き生きとの項目では、特別養護老人ホームの整備補助、障害児・者の社会参加の促進事業など。ゼロカーボンの事業として69億円とし脱炭素事業の推進などです。

<人や企業が集い、つながり、新しい価値を生み出す>

中小企業・小規模事業者支援に1,482億円、商店街振興などもコロナ対策としても進めます。新しい価値の関係では文化芸術の振興として区民文化センター整備や文化・スポーツ関係の開催も計画しています。旧上瀬谷通信施設の花博開催を主要な事業として、土地利用の促進などに59億円を予定しています。山下ふ頭再整備には24億円とし、市民からの意見募集も開始しています、市民の利用を優先にした再開発や土地利用が望まれます。通学路の安心安全の事業も推進予定です。

<市民生活や都市を支える基盤づくり>

魅力ある都市づくりに160億円として、国際園芸博覧会の開催準備や大規模公園整備として舞岡公園整備、小柴自然公園整備を進めます。災害対策に275億円とし防災力の強化・風水害の対策などに204億円、消防力の強化に68億円などとし安心・安全な横浜を目指しています。交通事業関係は89億円とし相鉄・東急直通線開通事業や地下鉄3号線の延伸計画などを進めます。

<DXの推進>

DX推進に119億円とし政府の施策との関係から注視しなければなりません、市は7つの重点を推進することとしています、行政サービスをデジタルで進めることを中心に申請や手続きの方法の改革やマイナンバーカードの交付率の向上なども目指しています。

<新型コロナウイルス対策 2,041億円>

新型コロナ対策は、医療提供体制確保427億円、3回目ワクチン接種・感染対策や外来診療の拠点を確保などです。経済対策などは1561億円、事業転換や商店街の消費喚起など対策と、子育てや福祉施設の運営対策、生活困窮者への対策などを進めます。コロナ禍における新たな日常の環境整備や学校における感染対策などを進めます。

<次の横浜を創るプロジェクト>

「市民の皆様の信頼に応え、必要な施策を検討する体制の整備」としています。内容は、主な機構改革と庁内での検討体制とし、特に庁内の検討に「中学校給食(より多くの生徒への給食の提供を目指し、専任体制を設置し、最適な実施方法を検討)」「子育てしやすい環境(安心して子どもを産み育てられる環境の実現にむけ、経済的な支援も含めて、横断的チームを設置し、検討)」「高齢者等の外出支援(地域の総合的な移動サービスのあり方について、高齢者等に焦点をあて、横断的チームを設置し、検討)」としています、どれも山中市長が公約としていたものであり、前進させなくてはなりません。

2 市民要求の前進と市民生活充実の予算とするために

令和3年度の市民意識調査の回答は、「地震や台風などの対策」「救急医療」「高齢者福祉」「地球温暖化対策」などが上位にあり、こうした市民要望から見た予算編成は、コロナ対策や特別養護老人ホームの対策や市営住宅の改善など、市民生活改善や要望に合った内容にもなっています。

しかし、引き続きの大型公共事業の継続などもされ前市長時代の施策を大きく変えるものにはなりきれていません、山中市長が掲げた「3つのゼロ」施策は現在の条例を変え予算をつけてからになります。

市民生活や生業を守ることが市政運営の基本ですが、市議会の中では山中市長も少数与党となり難しい状況です、市民本位の市政を進める山中市政を目指して多くの市民団体や市民のみなさんのご協力を得て、憲法が生きる横浜市政を作りましょう。